漫画読みの感想と考察と心の叫び

マンガを読んでの感想と考察とあらすじと心の叫び

「ドラえもん物語~藤子・F・不二雄先生の背中~」の感想

作者であるむぎわらしんたろう氏が幼いころにドラえもんと出会い、漫画家をめざして藤子プロに入社して藤子・F・不二雄先生の最後に作品にかかわるまでの物語です。

まず読んでいて第一にわかるのは作者の藤子・F・不二雄先生に対する愛情です。

幼いころから好きでご本人の名前を冠した賞を目指したほどの人から、様々な経緯から「(仕事を)手伝っていただけますか」と言われるというなんて、大変うらやましいです。

だというのに一緒に仕事をした話よりも、たまたま乗り合わせたバスでF先生とばったりあったりとか、一緒に演劇を見に行くときに立ち食いそばを食べた話なんかを実に楽しそうに描いています。

そして次に思うのは藤子・F・不二雄という漫画家のすごさです。

作者がF先生と働くようになったのはA先生とのコンビ解消後、ガンを患った後なのですが、規則正しい生活をしながら毎年大長編ドラえもんを書き、それ以外でも様々なSF短編を描きと実に精力的です。

特に亡くなる一月前から始まった大長編ドラえもんでは、それまで自分でやっていたキャラクターへのペン入れをアシスタントにお願いするほど体調が悪いのに、その亡くなる寸前まで原稿を描いていたというのは圧巻の一言です。

そんな偉大な漫画家の作品をご存命のうちに読めたことは自分にとって大変幸福です。仕事、そして自分の好きなものに対する向き合い方を考えさせられる作品です。