漫画読みの感想と考察と心の叫び

マンガを読んでの感想と考察とあらすじと心の叫び

「残酷な神が支配する」文庫版全10巻の感想

子どもの頃から萩尾望都さんの大ファンでしたが、就職してからは忙しくしばらく新刊を追うことが出来なくなっていました。
結婚して時間ができたのでまだ読んでいなかった「残酷な神が支配する」を、スマートフォンで購入して読みました。
話題になっていた壮絶な性的虐待の描写は、家族を持つようになった私には一層つらく感じるものがあり、序盤は読み進めるのが辛く感じるほどでした。
後半は虐待で傷ついたジェルミを義兄となったイアンが癒そうと試みるのですが、ジェルミが救われてめでたしめでたし、とならない複雑なストーリーで物語に深みを与えています。
萩尾望都さんのファンとしては、往年の名作「トーマの心臓」のテーマを現代の大人の読者向けに焼き直した作品のように感じました。
萩尾望都さんが「トーマの心臓」で描ききれなかったことを表現したのではないかと思います。