漫画読みの感想と考察と心の叫び

マンガを読んでの感想と考察とあらすじと心の叫び

「残酷な神が支配する」文庫版全10巻の感想

子どもの頃から萩尾望都さんの大ファンでしたが、就職してからは忙しくしばらく新刊を追うことが出来なくなっていました。
結婚して時間ができたのでまだ読んでいなかった「残酷な神が支配する」を、スマートフォンで購入して読みました。
話題になっていた壮絶な性的虐待の描写は、家族を持つようになった私には一層つらく感じるものがあり、序盤は読み進めるのが辛く感じるほどでした。
後半は虐待で傷ついたジェルミを義兄となったイアンが癒そうと試みるのですが、ジェルミが救われてめでたしめでたし、とならない複雑なストーリーで物語に深みを与えています。
萩尾望都さんのファンとしては、往年の名作「トーマの心臓」のテーマを現代の大人の読者向けに焼き直した作品のように感じました。
萩尾望都さんが「トーマの心臓」で描ききれなかったことを表現したのではないかと思います。

「帝一の國」全14巻の感想

帝一の國」はジャンプスクエアで連載されていた作品で、集英社の漫画アプリ「ジャンプ+」での無料試し読みがきっかけで購入しました。
あまりに面白くてそのまま徹夜で読破してしまったほどです。2017年には映画化もされました。
主人公の赤場帝一が名門・海帝高校の生徒会長を目指して権謀術数を繰り広げる、青春コメディ作品です。
耽美的で美しい作画がまったく内容とあっていませんが、そのギャップが不思議な世界観を作り出しています。
キャラクターはみな高校生とは思えないほど強烈で個性的で、必ずお気に入りのキャラが見つかると思います。
ちなみに私のお気に入りは帝一の一級上級生、ハーフの桐島ローランド先輩です。序盤の合宿編で披露された肉体美にノックアウトされました。
主人公の帝一も、まったく主人公らしくない性格がかわいらしく保護欲をそそります。
帝一の前に立ちはだかる最強のライバル・大鷹弾の方がよっぽど主人公らしくて、たびたび笑ってしまいました。

「火ノ丸相撲」 第1巻の感想

大太刀高校に入学してきた潮火ノ丸は、小学校相撲では鬼丸と呼ばれた次世代の横綱候補。

しかし低い身長というハンデもあり中学では無名の存在となっていました。

そんな彼が相撲部再建のために上級生の小関と共に活動を始めるが、相撲部は大太刀高校を占めている五條が本拠地にしていたのでした。

少しずつ火ノ丸の情熱に負けて仲間になっていく姿が胸を打ちます。

最初は邪魔ばかりしていた五條もその一人です。

不良が改心して仲間になるというよくある展開なのですが、その五條がだんだんと相撲を好きになっていく姿は見ている私も嬉しくなるくらいでした。

相撲という国技をで心を熱くさせる漫画は、今までにあまりなかったのでスポ魂ものが好きな人にはオススメできる作品です。

「ナレの部屋」の感想

韓国人の女性が書いているイラスト漫画で、イラストがとにかく可愛い。

話の内容はその人の人生を書いていてかなり親近感のわく、リアリティあふれる漫画です。

途中で付き合っている男性の話が出てくるのですが、その人との関係も面白い。

その他にも仕事のことや家族との関係など、とにかく人間誰しもが悩むであろう問題について定義していたり面白く書いていたり真剣に悩んでいたりします。

「これはひょっとして自分のことなんじゃないか」と思うぐらい勁く共感できる内容のもありました。

韓国の人なのに悩んでることは同じだということから「悩みって世界共通なんだなー」と思ったりもしました。

また飼っているネコが3匹いて、みんなそれぞれに性格もクセも違うことも書かれていてます。とても可愛いくて、個人的に加点したいと思いましたw

「金魚妻」の感想

黒澤Rさんのイラストに惹かれて読んでみました。
この作品は結婚してからの結婚生活や旦那さんに対しての不満などがきっかけで、不倫をした女性の話がショートストーリー仕立てでまとめられています。
不倫をした話は、批判を受けることが多いのですが、女性としては共感できる部分もありつつイラストがきれいなこともあり、読み終わったあとに不快感を感じることなくサッパリと読み終えることができます。
作品に出てくる男性も特別にカッコいいというわけではなく、日常で出会いそうなリアルな男性が出てきます。
ここで男性がカッコよければ変に羨ましいような嫉妬のような感覚を抱くかもしれませんが、リアリティのあるちょっと人間味のある男性が出てくることで面白さがあると感じます。不倫物を読みたい方、オススメです。

「好物はいちばんさいごに腹のなか」の感想

自分が利用している電子コミックのサイトの広告で出ていて、男性妊娠作品に興味があったので読んでみようと思いました。
受けであるカズイが今まで本当の愛を知らず、貞操概念も低く、ノアに対しても遠慮ばかりしていましたが、ノアの愛情や子供が出来た事で幸せに暮らしていけるようになったので良かったと思います。

家族に対してずっと憧れを持っていた受けが素敵な家族に囲まれて、本当の笑顔を見せた時にホッコリしました。BLはファンタジー要素が強いですが、中でも男性妊娠、人獣要素など多数盛り込まれているので、ファンタジー色の強いBLが好みの方にはお薦めでしょう。
メインのストーリーは良かったです。

ただ、1巻をまとめて購入しなければいけなかったのでメインと関係ない話も一緒に買わなければいけなかったのが痛かったです。

メインの話に脇で出てくるキャラクター達の恋愛模様を描いたスピンオフだったので、せっかくだからと読んでみたのですが、メインの話程クオリティが高くなかったと思います。

とはいえ、やはりメインストーリーはBLの中でもニッチなゾーンですが、間違いなくオススメできる一作です。新たな嗜好のドアを開きたい方は是非。

「艷漢」の感想

パラレルワールドの明治くらいの時代設定でとある部族?の生存と共存についてのお話なんですが、とにかく絵がキレイです。
とっても絵がキレイなのに、ノーフン(ふんどししない)とか、くっだらないギャグなんかも入っていて、でもテーマはとっても真面目というか暗い設定になっているのも先がとっても気になって仕方ないです。
人間の嫉妬心とか猟奇的な心理とかも書かれているのですが、合間合間に入ってくるギャグで一息入れられますし、ただ絵がキレイなだけじゃなくてどんでん返しとか意外な犯人とかのミステリー部分もあって、どんどん読み進めていける作品だと思います。
グロな描写とかもありますが、そのものズバリではなく想像力を引き立てるところもまたニクイです。