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進撃の巨人 第21巻 考察と感想

【収録】

第83話 大鉈

第84話 白夜

第85話 地下室

第86話 あの日

 

【考察と感想】

 アルミンが超大型の巨人の能力をゲットした。

 これは調査兵団が巨人化及び知性を持った巨人化能力の取得を初めて行った案件である。

 そして序盤からの謎であった地下室の件が解消された。

 グリシャ・イェーガーは自宅地下室の隠し引き出しの中に、己が知りうる限りの情報を3冊の本にまとめていた。

 その内容はこれまでの物語とは一線を画し、飛行船が飛ぶ国「マーレ」の話が語られる。

 グリシャ・イェーガーはマーレという国の収容所で育っている。収容所はマーレ国内のエルディア人を隔離している場所である。エルディア人は1820年前に「大地の悪魔」と契約し巨人の力を得たユミル・フリッツから成り、彼女は死後に「9つの巨人」に魂を分け『エルディア帝国』を築いた。

 作中で度々出てきた「ユミルの民」とは、ユミル・フリッツから成るエルディア帝国の人々=エルディア人のことだということが理解できる。

 エルディア帝国は色々あってマーレに支配権奪取され、始祖の巨人の能力を持つフリッツ家はエルディア帝国に一部の民を連れてパラディ島に逃れた。(これがエレン達がいる場所である)

 グリシャは色々あってマーレに強い反感を抱いたまま大人になり復権派に所属し、隠れていたフリッツ家の娘と結婚して子(ジーク)を持ち、密告される。

 

 第21巻では、第1巻からの謎であった部分が明らかになったり、世界の構造が見えてきたりと大きな展開があった。

 マーレ、エルディア、ユミル・フリッツ、大地の悪魔、九つの巨人。

 新しいキーワードが多数出てきて混乱してしまいそうだが、この後の物語を漏れなく楽しむためにしっかりと整理して理解しておきたい。

 

 ちなみに、グリシャの父のセリフ、

「我々の祖先は大罪人なんだ。優生思想に走り民族浄化をやった。この体にはその悪魔の血が流れているんだよ」

 には、私達の現実世界における敗戦国のドイツと日本に通じる思想を感じた。

 エルディア人収容所やマーレ当局の制服など、現実世界のエッセンスを取り入れる際のセンスが卓抜した作者であるから、この先の物語がただドイツっぽい展開などには決してならない。思い切りの良い話の進め方に、改めて新世代の作品であることを痛感しながら次巻を楽しみに待つとする。