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進撃の巨人 第20巻 考察と感想

【収録】

第79話 完全試合

第80話 名も無き兵士

第81話 約束

第82話 勇者

 

【考察と感想】

 獣の巨人、ライナー、ベルトルト、四足の巨人、そして多数の知性の無い巨人。

 彼等との全面戦争で20巻は圧倒的に盛り上がる。

 獣の巨人は大岩を両手で握り潰し、礫にしてエルヴィンやリヴァイ達調査兵団を強襲。岩を運ぶ四足の巨人との連携で、巨人の能力を飛び道具として機能させた。

 対してエルヴィンは決死の特攻と見せかけたリヴァイの奇襲により、自身と残りの調査兵団全員の命と引き換えに獣の巨人から本体を括り出すところまで追い詰めた。しかし、獣の巨人の能力を奪うことに気を取られたリヴァイは四足の巨人に獣の巨人を奪われてしまう。

 一方、エレン達は苦戦しながらもベルトルト(超大型の巨人)とライナー(鎧の巨人)を攻略、二人を巨人体から引きずり出した。しかし、アルミンは自らの命を懸けて作戦を遂行し、丸焦げになってしまった。

 この巻のあらすじはざっとこんなところだ。

 私が個人的に注目しているのは、獣の巨人の肩の強さで、10巻のウトガルド城跡に投石した時も武器(兵器)として機能していた。

 これはこの作品における巨人の個々の能力の捉え方が、設定として機能するかよりも、作品の中の世界で最大限に活用した場合、彼等はどのように巨人の力を運用するかが最大限に考え抜かれているということだ。

 これまでの創作物(特にアニメ、マンガ)では、お約束の上に物語が展開されるのは当たり前のことだった。

 例えばウルトラマンはいきなりスペシウム光線で怪獣を撃破せず、ある程度戦ってから放つようにしていた。これは必然としてではなく、視聴者を楽しませるためや、ソフビを売るために必要な『お約束』としての展開だ。

 進撃の巨人では『お約束』を意図した戦い方は存在しない。

 作中の人物たちが最善と思われる行動を尽くした結果の『必然』で物語が、戦いが展開されているのだ。

 これは実のところこれまで誰もが成し得なかった偉業だ。

 読者の方が作中の人物よりも状況が見え、より良い手段を思いつくからだ。

 進撃の巨人では、作中の人物(作者の思考)が読者の数歩先を行っていると私は感じている。

 それは作者:諫山創の作品に入り込む能力の高さがゆえになせる業だ。

 この未体験の物語を堪能できる我々は、非常にラッキーであると言えるだろう。

 

 面白い物語、マンガは今、山ほどあるが、本当の意味で新しいものは無い。

 異質なほど新しい漫画、進撃の巨人からこれからも目が離せない。